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082 動き出したお木車-御木曳- Okiguruma cart has departed

こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。前回に引き続き御木曳祭りの様子をお伝えします。大分遅くなってしまいすみません。

夜明け前 身を清める

御木曳当日。音頭取りや梃子持ちたちの朝は早いです。お木車の上に乗ったり、御神木に触れたりするため、まだ夜が明けぬうちに身を清めます。答志地区では東の浜と呼ばれる場所で、世古ごとに時間をずらしながら、和具地区では神祭のときにみんなが潮を舐めに行っていた大間の浜で、それぞれ身を清めました。神祭は2月や3月に行われるため、冷たい海に入るのも大変ですが、この御木曳は6月。結構みんな余裕で済ましたようです。身を清めるときは、身一つで行いますので、わたしは見学を自粛しました。

 

午後の様子はこちら⇒笑顔と愛あふれる祭り

朝6時 和具世古の出発

御木曳では、お木車は「ほんみち」もしくは「宮通り」と呼ばれる答志地区内の通りを通って行きます。答志地区内の3世古はそれぞれ宿(控室になる家)がありますが、和具の場合は旅館や飲食店に宿になってもらうのが慣例です。その為、和具地区内から答志地区の宿へ向かって出発するのも和具世古では一つの行事になります。

 

夜が明け切った6時に和具世古では樽開きをしました。町内会長、漁協の運営委員長の挨拶の後、師匠さんたちが伊勢音頭を歌い始めます。その間集まった人たちにお神酒がふるまわれました。

 

立派に飾られたのぼりや大漁旗、裃を着た音頭取りたちを見て、目を細める人たちの姿が美しくて、早くも胸がいっぱいになります。

 

和具の鳥居から今回の宿であるロンク食堂までの約1kmを、伊勢音頭を途切れさせることなく行列して行きます。町内会長、漁協の運営委員長、師匠さん、音頭取り、梃子持ち、組合青壮年部、婦人会など総勢50名ほどになっていたでしょうか。

へーふり坂と言う坂を上り、美多羅志神社の前を通り、いよいよ答志地区の町中へ入って来たとき、窓から顔を出したり、道に出たりして見物している人たちがいました。宿に入る前に歌いながら道を行くのは和具世古だけ。答志の町中を和具の人たちが歌いながら歩いていくなんてなかなか無い光景なので、なんだか気持ちがよかったです。

 

宿に着くと宿の歌を歌います。宿になってくれたお礼にその家の繁栄を願う歌を歌うのです。

はっぴ姿の男たち
宿の歌を歌う和具衆

朝7時半 出立

7時40分に西世古が宿を出発し、御木曳のスタート地点である浜の通りへ向かいました。出立の際には、宿をしている師匠の奥さんが見送りの伊勢音頭を歌いました。

 

続いて中世古、東世古、和具世古の順に出立します。どの世古も大きな声で伊勢音頭を歌いながら、宿を出て、宮通りを抜け、浜へ出ます。伊勢音頭は、師匠や中学生の男の子たちが歌いました。島にいると伊勢音頭を耳にする機会は多いですが、(祝いの席でよく歌うので)中学生たちは、今まで歌う機会がありませんでした。なので、この日の為に夜に世古ごとに集まって練習していました。練習の甲斐あって、みんな立派に大きな声で歌っていましたよ。

浜に着いてみると、そこには人、人、人。この御木曳を見る為に島外から帰って来た人たちも多く、普段の3倍くらいの人がいたんじゃないか、なんていう人もいました。

 

その後、御祈祷が行われた後に、いよいよお木車が動き出します。

朝9時 お木車の動き出し

お木車が進む前に一番最初の歌が歌われます。道中音頭取りは9カ所で止まり、歌を歌うのです。トップバッターは西世古。そして中、東、和具の順番は最後まで変わりません。

 

この後は、細い通りに入ってしまいますが、最初の歌は広い所で見られることもあり、本当に多くの人がいました。わくわくしながらお木車の方を見つめる人たちの横顔が、印象的でした。

 

無事4世古の歌が終わると、梃子持ちたちが御神木の下に梃子を入れ、車がギギギーと音を立てて動き出しました。

お木車は少し進むと止まって、宮通りの入口で音頭取りが2曲目を歌いました。彼らの歌う歌は、3つのパートに分かれており、最初と最後が元々の歌で、間に演歌やこの20年の間に流行ったポップソングの替え歌を入れ込みます。歌詞は御木曳を祝うものや、島を讃える歌、ちょっと笑いをとるような内容などになっています。

 

特にキャッチ―でみんなが覚えるのが「山男の歌」のメロディーに合わせた「娘さん、よく聞けよ、よそ男に惚れるなよ、嫁に行くならよ、答志の男よ」という歌詞。また、子どもたちの歌った「ゲゲゲの鬼太郎」の替え歌で「楽しいな、楽しいな、今日はお祭り、学校も勉強も無い!」の部分では笑いが起こりました。

この宮通りは、答志のメインストリートですが、とても狭く、軽自動車がぎりぎり通れるくらいの幅しかありません。お木車は屋根が2階の窓くらいまでとどくほどの高さがあり、軒や室外機、電柱などにぶつかるリスクと隣り合わせです。試験曳きは数回行いましたが、それでも試験用の車と本物では操作性も異なり、午前中の御木曳は困難を極めました。

 

試験曳きやその他の準備の様子はこちら⇒お木曳に向けて

 

12時前には中間地点であるじんじの舞台までたどり着く予定でしたが、1時間以上遅れての到着となり、そこでお昼休憩に入りました。

 

午後の様子は次の記事に続きます。

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コメント: 2
  • #1

    Hiroba (火曜日, 12 6月 2018 21:28)

    私もお木曳を見に行きました。着いたのが当日の朝8時半過ぎでしたので、前日や当日早朝の様子は、いがちゃんによる沢山の写真と詳しい説明でよくわかりました。
    皆で心を一つにして、細い通りをお木車を動かして行く「答志島のお木曳」を見せていただき、楽しい一日を過ごすことができました。ありがとうございました

  • #2

    いがちゃん (火曜日, 12 6月 2018 22:35)

    Hirobaさん
    いつもコメントありがとうございます。
    午後の分もお楽しみに。