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153 第九回答志弁講座(夏の答志弁)Lesson of Toshi dialect vol.8

こんにちは!答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。毎日毎日あっついですねー!ということで、今回は夏に使う答志弁を紹介していきたいと思います

 

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いりど

海女、海士(男の海女さん)自体や、海女漁のこと。海女漁が解禁になることを「いりどの口が開く」とも言います。いりどの語源は「入る」+「人」で「いりど」ではないか、と教わりました。海女と言うとどうしても文字に「女」が入ってしまうから女の人の仕事というイメージがあるのですが、実際は男の人も結構いるので、ジェンダーレスな「いりど」って意外と現代の感覚に合っているかも、なんて思っています。

海に浮く白装束の男性
いりどに行く和具のおじさん

かづき

水に潜ること。つまりいりどのこと。いりどは1回90分を休憩をはさんで1日2回行きます。1回目をひとかづきめ、2回目をふたかづきめ、と呼びます。ずっと「稼ぎ」から来た言葉だと思っていたのですが、調べてみたら古語では潜ることを「かづく」と言うんだそうで、答志弁にときどきある「平安言葉がそのまま方言として残ったシリーズ」のうちの一つでした。

ぬくたい

温かいもしくは暖かいことです。いりどで海に入った時に水が温かかったら「ぬくたぁ~」と言います。ちなみに暑いときは普通に「あっつい」と言います。

ひやかい

冷たいことです。いりどで海に入った時に水が冷たかったら「ひやかぁ!」と言います。水温は高くても低くても、1回の漁で90分水に浸かっていれば身体は冷えるので、漁と漁の間や漁の後は火にあたってじわじわと身体を温めます。

雨があたる

8月になってからめっきり聞きませんね、このフレーズ。雨が降ることを「あたる」と言うんです。雨の降り始めに「あたってきたな」と言われたらそれは雨の話なんです。夏は梅雨や夕立、最近だとゲリラ豪雨で雨が多いから夏の答志弁にリストアップしました。

 

ちなみにこの間、午後にぽつぽつと雨が降って来たとき、わたしが布団を干していたので近所のおばあさんが玄関先で「姉!雨あたってきたぞ!」と叫んで去って行きました。こういうところが大好きよ、答志島。

おっさん

おじさんのことではありません。頭の「お」にアクセントをつけて発音します。和尚さんのことです。様々な盆行事でおっさんは夏は忙しそうなイメージがあります。答志島の人たちは、神社もそうだけどお寺やご先祖様もとても大切にします。島の人がおっさんと話しているのを見るとその態度からリスペクトの気持ちが読み取れます。

精霊舟とおっさん
和具のおいやれでお経をあげる潮音寺の若おっさん

おまけ:いがちゃんの近況

相変わらず答志島に住んでいます。会う人会う人に「おったんか」って言われるんだけど、このところ4月から働いているツアー会社での仕事が忙しく、頻繁に鳥羽に通勤しているため、島にいないことも多いんです。さらに、どうしても仕事では県外の人を含め多くの人と会うため、自分がいつ新型コロナウィルスに感染してもおかしくない状況で、島の人たちとの接触を最小限にしようと過ごしているので、島での影がうすくなっています。

 

でも、変わらず島に住んでいます。特に出ていく計画も立てていませんよ。笑 通りから見えづらい家のベランダに布団を干していることを、近所のおばあさんが把握してくれていて、雨が降ってきたら知らせにきてくれる答志島が好きなので。

 

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