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128 第八回答志弁講座 Lesson of Toshi dialect vol.8

こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。最近は標準語をしゃべろうとしてもこっちのイントネーションが出てくることが多くなって、自分のアイデンティティーが揺らいでいます。答志弁、文字で書くだけでなくて発音まで伝えられるといいんですけどね。

 

今回は「なんて言っているか意味は分かるけど、違和感を覚える言葉」をいくつか紹介します。答志弁というよりは、答志でやけに使う頻度が高い言葉中心です。

 

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明くる日

方言では無くて、標準語なので誰でも意味はわかりますね。ただ、文章で見ることはあっても、明くる日って口語ではあまり使わないですよね?答志では当たり前に話の中で口に出して「明くる日に・・・」と言うんです。今ではわたしも当たり前と思って聞いていますが、最初の頃はものすごく違和感を覚えました。

ごっつぉ

ごちそうのこと。大概文脈から読み取ることができるし、響きもごちそうに近いので問題なく受け入れられる言葉です。ただ豪勢な料理という意味よりも、普通のご飯のことをちょっとユーモアを効かせて言っていることが多いと感じます。

例えば、お惣菜を買った帰り道に会った人が「ごっつぉ買うてきたか?」って聞いてくるみたいな。

かねきんの海鮮丼
ごっつぉの定番、かねきんのお弁当。これは海鮮丼。

業が沸く(ごうがわく)

腹が立つ、という意味。業を煮やすという言葉からすぐに意味が連想できます。「腹が立つ」とか「ムカつく」と言った方がシンプルなようにも感じるのですが、「クッソ業が沸いてきて・・・」と言うのをしばしば聞きます。確かに受け手としても、単に「腹立つ」と言われるより、なんか腹の底から怒りが湧いてくるイメージが浮かび、より憤りが伝わってくるように感じますので、こっちの方が自分の気持ちを表すのに適している表現として使っているのかな、と勝手に解釈しています。ちなみに20代の子とかも使う表現です。

ひちくどい

とってもしつこくてうるさいこと。非常に面倒なことを「しちめんどくさい」と表現することがありますよね。強調する意味の「しち」が「ひち」と訛るので、とってもくどいことを「ひちくどい」と言います。「ひちくどい」は主に人の性格や、態度を表すのに使います。

ちなみに関西あたりだとみんなそうみたいなのですが、「しち」を「ひち」と発音するのも始めは衝撃でした。数字の七もあまりに明瞭に「ひち」と言っているので、「ひち」って覚えている子どもとかいるんじゃないかな、って心配になる。

半時間

30分のこと。1時間の半分で半時間。初めて聞いても意味は伝わる。でも答志島に来るまでは聞いたことが無い言葉でした。実際、島出身の人が仕事で「半時間経ったら・・・」と言ったら「半時間?」と聞き返された、というエピソードも聞いたことがあります。まさかこれが方言だとは思わないんでしょうね。

 

以上5つが、わたしにとって「なんて言っているか意味は分かるけど、違和感を覚える言葉」です。こういう言葉を挙げてみると、その土地の人たちの生活とか考え方が少し見えてくるような気がしませんか?

 

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