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119 桃取の神祭 Jinsai Festival in Momotori

こんにちは。答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。今月2月は答志島神祭ラッシュです。神祭(じんさい)というのは八幡神社の例祭で、弓を引いて大漁や豊作、家内安全などをお祈りするお祭りです。答志島では3つの地区それぞれに八幡神社があるんですよ。さて、神祭は今年も桃取からスタート。

 

昨年の桃取の神祭の様子はコチラ 早朝の弓引き神事

今年の答志の神祭の様子はコチラ ⇒ 七人使いとお的衆

今年の和具の神祭の様子はコチラ ⇒ 素朴なお祭り

 

大漁旗
神事の行われる場所は、大漁旗で飾られます

桃取の神祭は朝早く始まります。西から東の階段の上に向かって矢を引くので、日の昇る前に始まって終わるのです。まだ暗いうちから準備がされ、6時半くらいになると太鼓の音が聞こえ、町の人たちが集まってきます。答志と和具は、その年によって日付が変わりますが、桃取の場合は2月11日と決まっています。今年は3連休の最終日だったため、祭りを見に来た人の中には帰省中と思われる人も多く、結構賑わっていましたよ。

弓引き神事
見物の人が多くいます。桃取在住や出身の人がほとんどで、他の地区の人や観光客などはほぼいません。
弓を手入れする呼び番
弓を引く人たちを招待する役の人が、弓を使う前に手入れします。弦を拭くときのキュキュキューッという音が小気味よい。

弓を引くのは3人で、今年のメンバーは20代後半くらいの人たちかな?答志島のどの地区でもそうですが、若い人が少なくなって、こういった神事の役回りも担い手が限られているのが現状です。桃取出身の60代の人に聞いてみると、昔はこういった役は漁師の家の長男しかできなかったそうです。漁師の長男だってそれなりの人数がいただろうし、限られた人しかできない役だったから、憧れの存在だったんでしょうね。

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神祭で使われるのは6本の弓矢です。3人が1本ずつ矢を射るのを2巡します。飛んで行った矢を回収し、これを3回行うので、全部で18回矢が放たれます。

弓を受け取る所作
弓を受け取るときの所作が独特です。

残念ながら(わたしが見た限りでは)今年は当たり無し。それでも伝統的な所作と実際に弓が遠くまで飛んでいくのは、非常に見応えがあります。ちなみに、昨年は大当たりがありました。的の中心に当たった矢は、過去3回分が八幡神社の拝殿に飾られているんですよ。

↑昨年撮影された動画で、見事的中しているのが見られます。

 

弓引きの後にびっち番と呼ばれる人が的を取り外すと、その的を持って町中を走りまわります。その後弓引きが行われた広場の脇の道で町の人たちがその的を奪い合い、引きちぎってお守りとして自宅に持って帰ります。的は、木、紙、紐でできているので、各部位を持ち帰るのが習わしだそうです。今年はわたしが7:20の船で出かける用事があったため、的の奪い合いまでは見られませんでしたが、老若に関わらず男性たちが奪い合いをする場で待ち構えていたので、きっと盛り上がったことでしょう。

弓を引く
的を取り外したびっち番。
的を取り外したびっち番。

祭りにかかる神事は昨年と見比べても、いくつか簡略化された部分があり、かつての活気あふれる祭りを憶えている人の目には、寂しく映ったかも知れません。しかし、参加する人、役を持った人の負担を減らすことで、祭りを継続させることを最優先した結果なのだと思います。それだけ続けることが何よりも大切なんです。だって、続けるのは少し頑張ればできるけど、一度辞めたことを再開するのはずっとずっと多くのエネルギーが必要になりますから。

 

また来年もこの祭りが見られることを祈りながら、次の答志の神祭も楽しみにしています。

拝殿に保管された矢。
昨年的のど真ん中を射抜いた矢。