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173 みんなのねやこや "Neyakoya" our communication place

こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。

暖かくなってきて、散歩日和も増えてきました。2月に第二子の男の子を出産したので、1歳になってしっかり歩く上の子と、ベビーカーに乗せた下の子と3人で散歩することも増えました。

最近生き物に興味津々で、特にお魚が好きらしい上の子が必ず行きたがるのが「ねやこや」です。

 

「ねやこや」は去年和具にできた交流施設です。地域おこし協力隊の正林泰誠君(私の後輩ということになりますね!)が、海洋教育の拠点として、空き家をリノベーションしました。

ねやこや外観。手作りの看板が味がある。

正林君は元々建築の勉強をしている大学院生で、大学院を休学して昨年の4月に地域おこし協力隊に着任しました。最初の頃はずっと喫茶店兼お土産物屋だった空き家「カネヨ」の片付けをしていました。私が移住してきた頃にはすでに長いこと空き家です、って感じだったカネヨがどんなふうに生まれ変わるのか想像もつかず、子育てに追われていたのもあって、ほとんど様子を見たりましてや手伝いをしたりするようなこともなく、数ヶ月が経っていきました。

正林君

その間も、色んな人たちが床を剥がしたり、壁を塗ったり、ゴミを運び出したり、逆に必要な物を入れたり、大工仕事をしたり、配管をいじったりなんかしていて、秋の過ごしやすい時期になって私が息子と散歩に行き始める頃には、人が集まるスペースができていきました。

 

ねやこやの1階には、生簀のような大きな水槽が1つと、ガラスの水槽が4つあり、漁師さんが網にかかったけど市場に揚げない生き物や、近所の子どもたちが釣ってきたアジのような魚が入っています。息子はこれを見るのが大好きで、ねやこやの前を通ると吸い込まれるように入って行くんです。

水槽を覗く息子

奥にはもともと喫茶店だったスペースがあります。島の人はもちろん、よそから観光に訪れた人にも開放しているので、島民と観光客の交流の場にもなっています。この喫茶スペースの窓際には、ベビーベッドが設置されています。使わなくなったベビーベッドを寄付してくれた人がいて、和具の小学生たちが組み立てました。当時まだ歩かなかった息子が入っているのにちょうどよくて、家で機嫌が悪くなると気分転換にここに連れて来ていました。放課後に行くと、小学生の女の子たちが一緒に中に入って遊んでくれたりもしました。

ベビーベッドの中にいる息子の後ろ姿

2階に上がると座敷の部屋があって、テスト期間になると中学生が勉強しに来します。また、複数の大学の学生たちが答志島の生活や文化について研究やフィールドスタディをしていて、島に滞在することがあるので、学生たちが泊まる為の部屋もあります。

ベビーベッドを組み立てる小学生たち

島の子どもたちにとっては、新たな遊び場ができて楽しいみたいです。日によっては本当にたくさんの子どもたちが集まって来て、リノベーションの作業があれば、その作業をしたり、みんなで遊んだりしています。また、保育所のお散歩のコースにもなっていて、幼児さんたちが魚や貝を観察している所に遭遇することもあります。

階段下に作られた秘密基地小さなテーブルと椅子があり、子ども3人くらいならぎゅうぎゅう詰めで入れそう。
階段下には、子どもだけが入れるこんな秘密の場所も!

あるときから朝のラジオ体操もするようになりました。登校前の近所の小学生たちもいるので、結構な人数になるみたいです。私は今は生後2ヶ月に満たない下の子との生活に追われてなかなか参加できないのですが、もう少し生活のリズムが整ってきたら仲間に入りたいですね。

ベビーベッドを囲み、和む島の人たち

正林君と出会ったのは3年ほど前。ちょうど私が地域おこし協力隊を卒業した直後に、研究のために答志島に訪れる際にこのブログを読み、調査に協力して欲しい、と連絡をくれたのでした。まさか、彼がその後協力隊になって、さらに島にこんな素敵な施設を作ってくれるなんて想像もしなかったのですが、いつの間にかねやこやがあることが当たり前になっています。島に空き家がたくさんあることも、こういった交流の場が求められていることもわかっていながら、全くどのように手をつけていいか分からなかった私は、正林君は本当にすごいことをしている、と思います。なんにでも興味を持って、どこにでも顔を出しに行って、人とよくコミュニケーションをとって、ちょっと抜けているところも親しみを感じる正林君は、島の人たちに愛されています。

 

正林君はこの3月31日で協力隊を退任することになりますが、今後は島に拠点を置いてねやこやの運営をしながら、大学院で研究を続けるんだそうです。こういう素敵な人を惹きつける力が答志島にはあるんですよね。ねやこやがこれからどのように成長していくのか、楽しみです。