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150 美多羅志神社の遷座祭 Moving the deities to the temporary shrine

こんにちは。答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。また更新が滞ってしまっていますね・・・。

 

早速ですが、現在の美多羅志神社の様子をご覧ください。本殿が無くなってまっさらです!元々本殿に鎮座していた神様たちは、約半年の間仮殿に移されています。そのための儀式、遷座祭(せんざさい)が4月7日に行われていました。ちゃんと取材しに行ったのですが、ブログに書きそびれていたので紹介しますね。

本殿の無い美多羅志神社
少し高くなった所に元々本殿がありました

斧始祭

遷座祭が終わればすぐに大工さんたちの作業が始まるので、遷座祭の日の午前中に斧始祭(おのはじめさい)が行われました。本殿を建てるための材木や道具を清め、安全に作業し、無事素晴らしい本殿が建つことを願う儀式です。

積み上げられた木材と参列する人々
斧始祭はじんじの舞台で執り行われます
かんな、のこぎり、巻き尺、斧
斧始祭に使われる道具

わたし的にこの儀式の中でのハイライトは、大工さんたちが昔ながらの道具を持ち「えい!えい!えい!」という掛け声と共に、材木の長さを計ったり、墨を入れたり、切ったりする動作をするところです。伝統的な道具はカッコイイし、大工さんたちが「えい!えい!えい!」をさっさと済まようとするのが、ちょっと面白い。もちろんみんな真面目にやっているのですが、なんだかちょっと恥ずかしいですもんね。

斧始祭の様子
えい!えい!えい!

本殿に納められていたもの

午後からは遷座祭です。町内会や漁協のトップの方たち、そして神社の総代さんたちが、みんなスーツでびしっと決めています。全体のお祓いをしたのちに本殿内に納められていた物が運び出されました。ご神体の他にも色んな物があるんですね。

運び出される傘
鏡、弓、矢、傘、槍、何かの箱など
本殿の中に入っていたもの

鏡、弓、矢、傘、槍、箱に入った何か、大きな木札など。参列した人たちにとってもやはり珍しいものらしく、時間があいたときにみんなで眺めていました。

本殿の中にあった物を見る人たち
漁協が奉納した木札があったみたい

ご遷座のとき

そしていよいよ、ご神体が仮殿に移されます。参列した人たちにはそれぞれ役割があり、ご神体が隠れるように白い布を張る人、提灯を持つ人、傘を持つ人などがおり、始まる前にそれぞれ役割と名前を呼ばれて、その通りに動きました。ご神体を本殿から出すのは宮司さん、運ぶのは神社総代さんたちです。

白い布を張る準備

美多羅志神社は、これまでの歴史の中で多くの神社が合祀されているので、ご神体がたくさんあります。その為、わたしが思っていたよりも時間がかかり、白い布の向こう側を歩く人たちは何往復もしていました。

白い幕の内側で遷座が行われているところ
神様の姿は見てはならないのです

ところでこの時白い幕の内側を歩く人たちは、みんなマスクをしていたんです。最初は人が集まるし、コロナ対策かな、と思ったのですが、ご遷座の儀式が終わるとみんな外したんですね。後から聞いてみると、昔からこの儀式ではマスクをしていたとのこと。人の息とか唾液とかが神様に触ることを避ける為だと考えると、神様にとって人間ってよっぽど汚いモノなんだなあ、と思いました。新型コロナウィルスが大流行中だった4月には妙に納得がいったのでした。

仮殿にお参り

全てのご神体が遷座されると、新しい本殿ができ上るまでの間は、仮殿がお参り先になります。仮殿前に神饌が備えられ、玉串も奉納されて、遷座祭は終わりました。

仮殿へのお参り

最後に空になった本殿をちらっと見せてもらいました。まだまだ全然きれいに見えますが、神様にまつわるものは全て新しくなければならないのが神道流。全て取り壊されて、新しくなります。

本殿の最後の姿

最初に写真を見てもらった通り、現在ではこの建物は跡形もありません。左側の塀だけが元のまま残っています。こちらは20年前に木造からコンクリートに換えたそうです。そして、右側の塀も今年の4月までは板塀でしたが、やはりこちらもコンクリートに変わりました。台風で奥の林の木が倒れることがあり、板塀だと不安があることが大きな理由です。奥に林があるっていうのは考えたことが無かったです。確かにいつも緑の背景は目に入っているんですけどね。本殿の取り壊しのタイミングで林の木もいくつか切り倒されました。

 

現在は、建設の準備が進められています。美多羅志神社に行く度に様相が変わっているので、建設が始まったらあっという間に出来上がってしまうんじゃないかな、と思っています。宮立は秋。その頃には、安心してみんなで集まってお祝いできる状態になっていることを願います。