こんな話を聞きました。
答志の人と和具の人と桃取の人の違い、それは海の荒さに比例していると。
答志の漁師はせっかちで豪胆。なぜなら海が荒いから。船上で用を足した後は1回しか振らない。悠長に振っていたら海に落ちてしまう。
和具の漁師は答志と比べればましだがやはりせっかち。海は荒いときと穏やかなときがある。船上で用を足した後は2回振る。2回ならなんとか振れる程度の波の大きさだ。
桃取の漁師は穏やかで仕事をきっちりと済ませる。海が穏やかで畑仕事もやっているから。船上で用を足した後は6回振る。それでも船から振り落とされることはない。
なんとも下品なたとえですが、答志島を知って聞くとうなずいてしまうし、笑ってしまう話なんです。ちなみにこの話をしてくれたのは答志の人です。(参考:3つの集落)
![桃取の穏やかな海と干し藁](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=890x10000:format=jpg/path/seed8a48793d29d95/image/id11a89b5a2de0bcf/version/1507513919/image.jpg)
下記の地図の紫の線が大体伊勢湾と太平洋の境目です。答志は内海の伊勢湾と外海の太平洋の境に位置するため、潮の流れが激しく波も大きいのです。和具は太平洋に面していることになりますが、隣にある菅島との間に内海を形成しているため、比較的穏やかな海域になります。しばしば、定期船航路が和具までなら航行しているけれど、和具答志間が欠航になるということがあります。そして桃取は完全に伊勢湾の中に入っているために、常時海は穏やかなのです。
![答志島周辺の地図。伊良湖岬、神島、答志島、鳥羽市本土を結んだ線が伊勢湾と太平洋の境目。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/seed8a48793d29d95/image/i446f013b0ea1360b/version/1507514016/%E7%AD%94%E5%BF%97%E5%B3%B6%E5%91%A8%E8%BE%BA%E3%81%AE%E5%9C%B0%E5%9B%B3-%E4%BC%8A%E8%89%AF%E6%B9%96%E5%B2%AC-%E7%A5%9E%E5%B3%B6-%E7%AD%94%E5%BF%97%E5%B3%B6-%E9%B3%A5%E7%BE%BD%E5%B8%82%E6%9C%AC%E5%9C%9F%E3%82%92%E7%B5%90%E3%82%93%E3%81%A0%E7%B7%9A%E3%81%8C%E4%BC%8A%E5%8B%A2%E6%B9%BE%E3%81%A8%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E3%81%AE%E5%A2%83%E7%9B%AE.png)
3町合同で県道清掃をした後に「桃取と答志の範囲の境目は見ればすぐわかる」と言われて検証に行きましたが、確かに「ここから先は桃取の人が掃除したんだな」とすぐにわかるほどキッチリと仕事されていたのが印象的でした。
もちろん、海の荒さだけで人格が形成されるわけではありませんが、ひとつの島の中にも特色があり、違っている(または違うという意識を持っている)というのはとても興味深いことではないでしょうか。
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