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125 ツバメに好かれる島 The island loved by swallows

こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。島でも桜が散り始め、すっかり春らしくなりました。1週間ほど前から、繁殖期を迎えたツバメたちが、次々と島へ渡ってきています。まだツバメが来るには早い気がしたけど、あっという間にすごい数になりました。パートナーを見つけるために1日中さえずるツバメの声が島中に響いています。

巣作りするツバメ

ここ、答志島に渡って来るツバメの正確な数は分かりませんが、鳥羽の本土や他の離島と比べても多い、という人もいます。きっと島の位置が良いのでしょうし、家と家の間が狭い漁村特有の町の作りがツバメの営巣に適しているのではないかと思います。狭い路地や家と家の間には外敵であるトンビのような大きな鳥が入って来れません。ツバメにとって安心できる家が作れるのが、答志島にツバメがたくさん集まって来る理由ではないでしょうか。

 

最近家と家の間が狭い話をしすぎですね。関連記事 ⇒ 手の届く距離にある隣家  島ぐらしの必需品!?じんじろ車

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ツバメの巣ができると縁起がいいといいますし、ヒナがとってもかわいいので、子どものころはツバメの巣がある家がうらやましく、家にもあればいいのに、と思っていました。小学校の通学路の商店街にツバメの巣があって、よく見上げていたのを今でも覚えています。

 

しかし、答志島ではツバメの巣に珍しさなどありません。ほとんどの家が巣作りに好条件なので、一つの家に複数の巣ができることもあるほどです。巣が作られると糞害も出るため、それを嫌って、ツバメの来る季節になると、軒下に対策を施す家もあるほどです。

 

ちょっと冷たいように感じるかも知れませんが、せっかく作った巣を壊すよりはずっと人道的です。ちなみに鳥の巣を壊すのは条例で禁止されていますよ。

軒下に詰められた新聞紙と蝶々の形の不気味なおもちゃ
ツバメの嫌がりそうなものを軒下に下げてみたり、いかにも巣作りされそうな場所に新聞紙を詰め込んでみたり。
空き缶で工作したツバメ避け
クルクルまわる空き缶のオブジェもツバメ避けです。あとは網を張ってある家もあります。

ツバメのような小さな鳥は警戒心が強いというイメージがあるのですが、意外と近づいても平気なのだと、答志島に来て知りました。繁殖期で舞い上がっているから人間なんかに気を付けていられないのでしょうか?1.5mくらいの距離に近づいても飛び立たないので、写真さえ撮ることができました。

また、雨が降る前に限らず、低い位置を飛び回るツバメが多いのにもわたしは驚きました。相手は野生で危機回避能力が高いのは分かっているのですが、自転車に乗って道を走っているときに目の前を横切られたりすると、いつかツバメとの接触事故を起こすのではないか、と肝を冷やします。

 

改めてツバメの生態を調べてみると、元々作られた巣がある場合、新たな巣を作らず古い巣を修復して使うこともあるそうです。ずいぶん早く巣に入っているつがいがいるな、と思ったら、元々ある巣を寝床にしたか、自分たちの古巣にもどって来たかしたのでしょうね。

船上のツバメの巣
志摩市の渡鹿野島(わたかのじま)の渡船で見つけたツバメの巣。穏やかな海の短い距離を往復する船だからこんなことも起こるけど、答志の漁船にツバメの巣なんてまずできないだろうなー。

外敵が入って来られないはずの場所でも、ヒナが巣から落ちていることがあります。つがいのメスが他のオスに奪われたときにこういうことが起こるそうです。オスは自分の子孫を残すため、先に生まれていた別のオスの子は殺してしまうんだそうです。一昨年わたしの家にも巣が作られ、ヒナが生まれたのですが、そんな事情があったみたいで巣立つことはありませんでした。島を歩いているときにツバメの巣があったら、足元にヒナが落ちていないか注意してみてください。ちなみに、鳥の巣から落ちたヒナを巣に戻しても人間のにおいがついて母鳥が育児放棄する、という説がありますがあれは迷信だそうですよ。事故で落ちた鳥ならまた再び養育してもらえるはずですが、オスに追い出されたヒナたちが再び落とされることからそんな迷信が生まれたのかも知れませんね。

 

春先のツバメが巣立った後に、7月頃に渡って来るツバメもいます。島のツバメを見ていると、この7月くらいのツバメは春のツバメと比べると数が少ないです。

 

あと興味深いな、と思ったのは大家さんの言っていたこと。わたしが住んでいる家には長年ツバメの巣は作られなかったけれど、わたしが住み始めてから巣が作られたんだそうです。人が住んでいる家の方が好まれるのは意外です。

玄関の電灯にとまるツバメ

さて、昨年は下見に来たツバメはいるものの家に巣は作られませんでした。いくら見かけるのが珍しくないと言っても、やっぱり自分の家に巣があったらうれしい。今年も家の前ではほとんど見かけないから難しいかなあ、と思いながら、島中でヒナたちの鳴き声が聞こえてくるのを楽しみにしています。