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107 移住は時代遅れ!? Is moving to the local area out of fashion?

こんにちは、答志島移住2年生の五十嵐ちひろです。メディアでは、地方へ移住して就農するとか、リモートワークをするとか、起業するとかが新しいライフスタイルとして紹介される機会も多いですが、実はもう移住って時代遅れかも知れないんです。

 

少し話をずらしますが、みなさんはふるさと納税ってやっていますか?市民が、自分の出身地や思い入れのある自治体などに税金を納める寄付できる制度です。(※訂正2018.12.17「納税」という名称ですが、実際は「寄付」です)人口が少なくなり、住民税の税収が減っている自治体には税収が増え、納税した人は節税ができるし返礼品を貰うこともできる、両者に得のある制度です。しかし、人口は多いけれど、地元で生産される産品が少なかったり、魅力に欠けたりする自治体からすると、ふるさと納税は入って来ないわ、住民税は減るわの踏んだり蹴ったりの制度でもあります。最近では返礼品競争となり、納税者の奪い合いになっています。当然です。日本の人口自体、つまり納税者自体が減っているのですから、どこかで税収ふるさと納税による寄付が増えればどこかでは減るのです。(※訂正同上)

伊勢海老
鳥羽市のふるさと納税の返礼品には伊勢海老もあるらしいよ。

これと同じことが移住・定住の業界でも起こっています。

 

先ほど言ったように日本の人口は2004年の1億2千784万人をピークに急激に減少しています。全体の人口は減っているんだから、結局取り合いが起こるのです。勝ち続けた自治体には人口が増えるでしょうが、負け続ける自治体はいずれ住む人がいなくなります。もちろん「消滅可能性都市」という言葉があるくらいですから、それを前提とした考え方もあるでしょうが、本来の地方創生とはずれてくるので、それはまた今度にしましょう。わたしが話したいのは、競争をして人口の取り合いをするのではなく、上手にシェアするという考え方がある、ということです。

 

※消滅可能性都市:2014年に日本創生会議が発表した、少子化や人口流出により2040年までに存続できなくなるおそれがあるとされた自治体。詳しくはググってね。

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↑和具の神祭は若い人が少ない

 

人が住む場所には、コミュニティが存在します。日々の自治や、祭りや行事の運営などを行う為に人々は集まって力を合わせます。これまでは、こういったコミュニティは地元の人のみで組織されていましたが、地域のコミュニティに外部の人を関わらせることによって、人口減少による担い手不足を補う、という動きが出てきているのです。

 

例えば、祭りの神輿を担ぐ人が足りないので、近隣の大学に通う学生に参加してもらうとか、一度旅行で訪れた場所で地元の人と仲良くなり、毎年稲刈りの手伝いをするようになったとか、ただの観光客ではないけれど、移住もしていない、という人たちの数を関係人口と呼びます。

学芸出版社「住み継がれる集落をつくる」
関係人口について学ぶために読んでいる本です。色んな事例があります。

こういった関係を築くのは、なにも一つの地域でしかできないわけではありません。2050年には日本の人口は1億人を切ると言われていますが、例えば1人の人が自分の居住地も含めて3つの地域に関係を持っていれば、単純計算で日本全体の関係人口は3億人になるわけです。それぞれの地域が、コミュニティの担い手としての移住者を取り合うよりも、その地域以外に住んでいたり、別の地域とも関わりを持っていたりする人に負担の無い程度に関わってもらうことで関係人口を増やす方が、持続可能性が高いと思いませんか?

人口推移グラフ
総務省 我が国の人口の推移

わたしがこの「関係人口」について初めて知ったのは移住して間もない時期でした。移住生活に希望を持っていたし、自分の移住が地域の活性化につながるんだ、という気持ちがあったので、実はこの説はあまり響かなかった。しかし、いろんな地域づくりの事例を学んだり、答志島の人口減少について考えたり、自分自身の答志島との関係性に思いをはせたりすると、だんだんとこの関係人口を増やすのってすごく大切なんじゃないか、と思えるようになってきたんです。島を大事に思ってくれる人を増やすとか、大変なときに力になってくれる人がどこかにいる、ってものすごい価値のあることだし、移住者、定住者を引っ張ってくるより、少ない労力で誰にでもできることだと思うんです。

関係人口について肯定的にとらえるようになると、移住・定住が強硬派という風にさえ思えてくる。もちろん、島に移住者が増えたらすてきなことだと思います。移住者コミュニティみたいなのができたらすごく楽しいだろうな、ってワクワクしちゃうし。

↑今年の4月から離島留学している移住者親子のFacebookページです

 

でも、現時点でも答志島の関係人口って結構な数だと思うんです。例えばうちの両親なんかわたしが移住してからの1年半の間に3回 4回ずつ(※訂正2018.11.16 4回だと指摘がありました。はい、4回来ています。)島に訪れているし、遊びに来た友人もまた来たいと言ってくれるし、しょっちゅう島の海苔を買っている親戚もいる。こんな人たちもみんな関係人口の中に入っているんです。島にお嫁に来た人の家族友人でもそんな人ってたくさんいるはずです。あとは、毎年必ず家族旅行に来る人や、釣りやクルージングでしばしば島を訪れるという人もいるし、答志島の文化について研究している学者さんや学生さんも相当な数を数える。こんな人たちと今後もう一歩進んだ関係を築くにはどうしたらいいのかとか、新たに深く島と関わりを持ってくれる人を増やすには何をしようかとか、そんなことを考えるのもまた、ワクワクするものです。

 

移住者、定住者を増やさなくても、島を良くすることってできるはず。きっとこの考え方の方が、希望が持てるし、多くの人が関わりやすいんじゃないかなとわたしは考えます。

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コメント: 2
  • #1

    木下順弘 (月曜日, 26 11月 2018 18:12)

    関係人口その通りだと思います。
    私の企画もそれをが、基本です。講座やコンサートなどを開催して、外からの参加者と地元との参加者の交流から、お祭りへの外部参加者が増えたり、移住に繋がったりする事を目指しています。

  • #2

    いがちゃん (火曜日, 27 11月 2018 11:16)

    木下さん
    関係人口の中にはかなり多くの移住予備軍が含まれていると言いますね。
    まずは地域を知ってもらい、好きになってもらうことから始めていきましょう!!